安全運転
今の車に変えて、10年が経とうとしています。
その間は無事故…有違反です。物損も人身も事故も無しには
本人も驚いてるくらい、安全運転を心がけて来ました…来たのかな。
運が良かったと思って、心新たに、以下戒めの妄想です。
路上試験も合格。これで免許が、発行されると思っていた。
運転の適性検査?最初にやったペーパーではなくて、
今度はモニターを見ながらの、最新式らしい…。
献血のような大型バスに乗せられ、10人ぐらいのブースに
ヘッドホンとゴーグルが備え付けられている。
乗り込むと、コンピュータ酔いの錠剤を飲まされた。
なーんだ、ペーパーがそのままバーチャルになったもので、
ちょっと期待はずれ。
そのまま合格ということで、簡易版を発行された。
後日、セキュリティー強化の免許証が届くようだ。
お~そうだった。帰りは自動運転のEVを試乗して、
帰宅できるのだ。ワクワクドキドキしてきた。
着いたら乗り捨てて、自動で教習所に帰る
流星号のような、A.I搭載の最新モデルらしい。
これができるから、ちょっと不便な丘の上の教習所を、選んだのだ。
静かに発進。まるで長年運転してたような操作性に驚いた。
いいなぁ…でもちょっと、まだ高いなぁ。
丘を下り深い森に入ったときに、ドンと左後部に何かがぶつかった。
車は自動急ブレーキで止まった。鹿か?
バックカメラに、赤い登山帽のハイカーが倒れているのが
映し出された。胸のあたりから血が流れている。
えっ?自動で回避するんじゃなかったのか…。
怖くなって、アクセルを踏みこんで逃げようかと思ったとき、
けたたましい鳥の鳴き声が聞こえた。
ドアを勢いよく開き、大丈夫ですか?と声をかけると、
ハイカーがぴくりと動いた。
まず救急車だ。スマホを取りに戻ろうとしたとき、
救急車を呼んだぞ!警察も呼んだぞ!の声が聞こえた。
気がつかなかったが、まわりに赤い登山帽のハイカーが大勢いた。
よかった、まだ生きている…。
パァ~ン!大きな音に驚いた。
目の前に、いつも無愛想に仕事をこなしていた受付嬢が、
バニーガールのコスプレで満面の笑みをうかべ、クラッカーを鳴らしたのだ。
そして、小さなくす玉の紐を引っ張ると、
合格おめでとうございますの、垂れ幕が下がった。
ハァーン?どういうことだ?
見回すと、そこは、まだバスの中だった。
赤いランプが回っているブースが一つあった。
私のは緑だ。そうか、そういうことか…
運転適性検査の最新システム。IT技術の粋を集めたバーチャル装置は、
免許取得後のモラルまでテストする、すぐれものであった。
ひき逃げを起こす人間性まで、あばいてしまうのだ。